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土つくり < 植えつけ < 水やり < せん定 < 肥料やり < 病気と害虫

病気と害虫
病気対策の基本はじょうぶな品種を選択するということが第一に考慮すべきことだと思います。
じょうぶな品種としては原種、ダマスク、アルバ、ガリカなど一季咲きのオールド・ガーデン・ローズ、耐病性のあるモダン・ローズなどが挙げられますが、こうした品種を選ぶということを先ず検討してみるとよいと思います。
次に重要な対応策としてあげられるのは“予防”を万全に行なうということです。
バラの病気は次のような大きく3種類に分類されます。

病因 主な病名
糸状菌(カビ) 黒点病、うどん粉病、べと病、灰色かび病など
細菌 根頭ガン腫病
ウィルス モザイク病

バラの病気は糸状菌(カビ)が原因であることが多いのですが、病因が細菌やウィルスであるとき、たとえば根頭ガン腫病やモザイク病にかかっている場合、現時点では細菌やウィルスを除去する治療薬はありません。そのため他の株への感染を防ぐため羅病株を焼却・廃棄しなければなりません。
また、病気は発生しやすい時期、環境がありますので主な病気の性質を見極め、効果的な防除対策をとること、発病した場合は治療をおこなったり、蔓延を防ぐために病原の除去、株の焼却・廃棄などをすみやかに実行することが必要です。

無農薬・減農薬か
害虫の駆除を考える場合も同様ですが、病気の予防、発病した際の病原の除去に農薬を用いるか、あるいは減農薬を試みるか選択しなければなりません。
以下、農薬による防除に加え、減農薬の方法、環境や生態系にやさしい農薬についても紹介したいと思います。
なお、家庭園芸用に販売されている農薬は、毒物劇物取締法の人畜毒性の規定において比較的安全とされている”普通物”であることが多いのですが、環境ホルモン問題との関連は完全に否定されたわけではありません。
農薬を散布される場合は、散布する農薬が”普通物”なのか、あるいは”劇物”指定されているか等、毒性を確認するとともに、防塵めがね、マスクなどをつけ、帽子、フード、長袖の服、長ズボンなどにより農薬に対する万全の防御策をとることを強くお勧めします。

主な病気と対応策
病名 病原 病状 感染経路 発生時期 予防 治療
黒星病 糸状菌 葉の表面に黒点が生じ、やがて黄変して、落葉する。
病気が進展すると株は弱り、枯れることもある。
雨、水やりなどの際、地表からの水滴のはね返りにより葉の表面に付着し侵入する。
葉の表面が濡れている場合、数時間のうちに菌糸を伸ばし侵入する。
発病すると胞子を大気中に放出するので、風にのって他の株に感染する。
4月~11月 4月以降休眠期に入る前まで、予防薬として、ダコニール(TPN剤)、銅剤、サプロール(EBI剤)などを散布する。
元にマルチングを施し、また地表近くの古い葉を落とすなど感染経路を遮断する。
いったん発病すると薬剤による治療効果は期待できない。
病気に冒された葉および周囲を切り取って感染防止を徹底する。
うどん粉病 糸状菌 新芽、つぼみ、若葉に灰白色のカビが発生し、うどん粉をまぶしたように見える。
新芽の生育がとまり、開花が妨げられる。
気温17℃以上、湿度50~80%を越え乾燥した気候のとき、活動が活発となり、付着した葉の表面などから菌糸を伸ばして侵入する。 4月~6月
9月~11月
冬季の休眠期に石灰硫黄を散布する。
発生時期である4月~6月および9月~11月に予防薬としてダコニール(TPN剤)、銅剤、サプロール(EBI剤)などを散布する。
窒素(N)過多になると発病しやすいので、施肥の際注意する。
日陰部分に発生しやすいので、混みあった枝をせん定するなどして健常な育成をはかる。
発生初期は治療が可能。サプロール(EBI剤)、ジーファイン(銅・炭酸水素ナトリウム)など治療効果のある薬剤を葉の表裏ていねいに散布する。
株に侵入した菌を駆除するため、数日おいて散布をくり返すと治療効果が高い。
カリ・グリーン(炭酸水素カリウム)、ハーモメイト(炭酸水素ナトリウム)は治療効果は多少劣るが、人畜には無害で環境にやさしい薬剤である。
べと病 糸状菌 葉の表面に紫色の班が生じ、班は大きくなると中心部が白抜けする。急激に落葉する。新芽は萎縮し、枯れる。 気温17℃前後、昼夜の温度差が大きく、水分が結露して葉の表面に残ると、葉の表面などに付着していた胞子は活発に活動を開始し、菌糸をのばして侵入する。
葉の裏に綿毛状の菌糸をつくる。
山間部など比較的冷涼な地域での発病例が多い。
3月~4月 4月の発生時期に、銅剤、ダイセン(ジネブ剤)、ジマンダイセン(マンゼブ剤)、キャプタン・オーソサイド(キャプタン剤)などの予防剤を降雨前に散布すると効果が大きい。
肥料切れで生育に支障が生じているとき、また窒素(N)過多のときに発生しやすいので、施肥管理に注意する。
病害部および周囲の葉を除き、治療剤であるリドミル、サンドファン(アシラニライド剤)を散布する。連日行ない2,3回続けると効果が大きい。
灰色カビ病 糸状菌 つぼみや花弁に灰色のカビ生じ、腐る。 気温17℃前後、多湿の環境にあると、活動が活発となる。
腐生菌であり、枯れた花弁、つぼみなどから侵入し、病害を引き起こす。
3~4月
10月~11月
侵入経路となる枯れた葉、花をこまめに取り除くことで予防できる。
薬剤を用いる場合は、3,4月および10、11月の発生時期に、銅剤、ユーパレン(スルフェン酸剤)、キャプタン、オーソサイド(キャプタン剤)、ダコニール(TPN剤)、などの予防剤を散布する。
感染部分を取り除き、ロブラール(ジカルボキシミド剤)、ベンレート、トップジンM(ベンゾイミダゾール剤)などを散布する。
根頭ガン腫病 細菌 根とくに接ぎ木部分の下にこぶ状のガン腫ができる。株が弱り、枯れる場合もある。 細菌は土中に棲息しており、接ぎ木部分や、根の傷ついて部分から侵入して発病する。 4月~11月 大苗など裸根の状態でバクテローズ(アグロバクテリウム・ラジオバクラー剤)の水溶液(塩素を含まない水。すなわち、水道水を使用しない)に漬ける。 感染すると有効な治療方法がない。
発病した株を廃棄・焼却し、植え穴周囲の土を取り除いて菌の拡散を防止する。
モザイク病 ウィルス 葉に黄緑のモザイク状の模様が生じ、萎縮、奇形化し、株は弱る。 アブラムシ、アザミウマなどの害虫の吸汁行為。また茎、根に生じた傷などからウィルが株内部に侵入して発病する。 4月~11月 アブラムシ、アザミウマなどの害虫駆除を徹底する。
せん定の際使用するはさみ、のこなどは使用後よく洗浄し、できれば殺菌処理をほどこす。
感染すると有効な治療方法がない。
根頭ガン腫病の場合と同様、発病した株を廃棄・焼却し、植え穴周囲の土を取り除いて菌の拡散を防止する。

害虫対策
バラには多くの害虫があって吸汁害、食害をもたらします。美しい花を咲かせるためには、病気の予防を徹底することともに、害虫の駆除が大切です。
おもな害虫と被害には次のようなものがあります。
害虫 被害
アブラムシ 若芽、つぼみなどに群がって吸汁する。
ハダニ 葉裏に群がって吸汁する。
バラキクキバチ 新芽の先端近くに産卵するため、茎がしおれる。
チュウレンジバチ 茎に産卵し、幼虫は群がって葉を食害する。
アザミウマ 花弁の間にもぐり込んで産卵し、幼虫、成虫とも花弁を食害する。
カイガラムシ 茎に群がって吸汁し、生育がそこなわれる。
ゴマダラカミキリ 茎内部に産卵し、幼虫は茎内部を食害する。

無農薬・減農薬か
害虫の駆除にあたっては、病害の場合と同様、減・無農薬をめざすのかどうかということを選択しなければなりません。

庭やバルコニーは小さいながらも生態系を形成しています。農薬の散布は害虫とともに害虫の天敵をも除去してしまいます。アブラムシやハダニなど世代交代が早い害虫は薬剤抵抗性がつきやすく、農薬の散布の結果、天敵がいなくなったため、生き残りの害虫がかえって大発生してしまう現象も生じています。(リサージェンス現象といいます。)

おおげさな言い方をすれば、殺虫剤の散布は庭やベランダの生態系に大きな変化をもたらすものだと言うことができます。
こうしたことから、生態系の維持しつつ病害虫の除去をはかろうとする試みがさかんに行なわれています。

天敵利用
バラの害虫はバラやその他の園芸植物だけを害するのではありません。野原などの自然の中にも棲息し、食するものと食されるものとの関係(弱肉強食の世界)を形づくっています。
ほとんどの害虫には天敵がいます。庭や田畑などで、時に起きることのある害虫の大発生は、自然の中ではほとんど例がありません。生態系のなかでは天敵の存在にによって特定の生物の大発生は制御されているのです。

欧米では、自然環境の保全、食物における残留農薬の削減の目的から天敵利用による害虫駆除がさかんに行なわれています。
国内において有機農業を推進されている方たちも、こうした天敵利用の考え方を一手法として取り入れています。一部ですが、天敵が生物農薬として認可され、施設栽培などに利用されています。
自然や環境にやさしい庭づくりをめざす方たちの間で、庭つくりにこの天敵利用の考えを取り入れようとされる方が増えています。

庭でよく見かける天敵は、クモ類、てんとう虫(アブラムシの天敵)、クサカゲロウ(アブラムシ、ハダニの天敵)などです。
クモ類はアミをかけたり毒をもつため嫌われがちですが、環境にやさしい園芸をめざす方はクモは庭の友であると念じ、好きにならないまでも見つけ次第捕殺してしまうことはやめるよう努力しましょう。

主な害虫と対応策
害虫 症状 発生時期 対応策
防除 天敵
アブラムシ 若葉、つぼみなどに群がって口針を差し込み吸汁する。
食害もあるが、口針を差すことによりウィルス感染もある。
4月~11月 発生をみたらスミチオン(MPE剤)、マラソン(マラチオン剤)、ベニカ(除虫菊+マラチオン剤)、オルトラン(有機リン剤)などを散布して駆除する。
オレート(オレイン酸ナトリウム剤)は気門をふさいで窒息死させる薬剤で毒性はなく、抵抗性もつかない。牛乳の散布も気門をふさぐ効果があり、駆除効果がある。
アブラバチ(生物農薬として施設農家などに導入され始めている)、ヒラタアブ、ショクガタマバエ、クサカゲロウ、テントウムシ、ハナカメムシ、オオメカメムシ、タカラダニ
ハダニ 葉裏に群棲し、口針を差して吸汁する。
葉に白い斑点が無数に生じ、やがて落葉する。
6月~9月 冬季に石灰硫黄合剤、マシン油を散布すると、発生の抑止効果がある。また、雑草から移動して、繁殖することが多いとされているので、こまめに雑草を除去すると効果がある。
高温乾燥時期に多発するが、水に弱いため、発生期の朝などに葉裏をシャワーすると発生防止に効果がある。
発生をみたら、ケルセン((ケルセン剤)、オサダン(有機スズ剤)、ニッソラン(ヘキシチアゾクス剤)、カスケード(IGR剤)、粘着くん(デンプン粉)、などの薬剤を葉の表裏ていねいに散布する。
カスケード(IGR剤)は幼虫の脱皮を阻害して殺虫するため、天敵への影響がない。粘着くんはでんぷんによる、窒息と粘着により物理的に殺虫するため、これも生態系への影響が少ない、環境にやさしい薬剤である。
カブリダニ(生物農薬として施設農家などに導入され始めている)、タカラダニ、テントウムシ、ハナカメムシ、タマバエ、ハダニアザミウマ、ハネカクシ、クサカゲロウ
バラキクキバチ 若芽などの茎に産卵し、若芽を萎れさす。
幼虫は茎のなかで食害をおこし、さなぎとなって翌春成虫となる。
4月~5月 有効な事前防除方法はない。しおれている若芽を見つけたら、産卵箇所と思われる部分を含めて切除する。 クモ類
チュレンジバチ 茎に産卵し、幼虫は群棲して葉に食害を起こす。
発見・駆除が遅れると葉をほとんど食い尽くされてしまう。
6月~9月 茎をさいて産卵する。卵を見つけたら、すみやかに駆除する。(つぶす)
発生をみたらスミチオン(MPE剤)、マラソン(マラチオン剤)、ベニカ(除虫菊+マラチオン剤)、オルトラン(有機リン剤)などを散布して駆除するが、天敵保護のためには、農薬に頼らず捕殺に徹する。
クモ類
アザミウマ 花弁の間に入り込んで産卵し、幼虫、成虫とも花弁などに口針を差して食害を起こす。
花の観賞価値が損なわれる。
5月~7月
9月~10月
抵抗性がつきやすく、また薬剤のかかりにくい花弁のなかにひそんでいるため、発見も駆除も非常に困難。
スミチオン(MPE剤)、オルトラン(有機リン剤)には抵抗性がついているケースが多く、散布はリサージェンス現象を起こすもとになりかねない。
マラソン(マラチオン剤)は雌成虫には効果は薄いものの幼虫には効果があることが知られている。
脱皮阻害剤であるカスケード(IGR剤)は速効性に乏しいが、効果が高い。
カブリダニ(生物農薬として施設農家などに導入され始めている)、タマゴコバチ、ヒメコバチ、ハナカメムシ
カイガラムシ 茎などに口針を差し吸汁して食害を起こす。 年間を通して 殻やろうをかぶっているもの、ないものなど多くの種類があるが、殻やろうをかぶっている場合は薬剤の効果が低い。
初冬にマシン油乳剤、石灰硫黄剤などを散布して気門を封じて窒息しさせると防除効果が高い。
発見したらブラシなどでこすり落とす。
ゴマダラカミキリ 6月~8月にかけて産卵し、幼虫は2~年茎内に棲息して食害を起こす。 産卵
6月~8月
切りくずのような虫ふんを発見したら、茎にある排出穴を見つけ、ミチオン(MPE剤)、マラソン(マラチオン剤)を注入して防除する。

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